山口歯科から妊婦さんへのメッセージ
YAMAGUCHI DENTAL CLINIC
■妊娠で変化する歯と歯肉について
妊娠中に歯や歯肉を悪くする方が多いのは、赤ちゃんに歯のカルシウムを取られているからではありません。 出産の有無に関わらず、歯からカルシウムが溶け出すことは、まずありません。
母体に起こるさまざまな変化(女性ホルモンの増加、新陳代謝・消化液の変化)が、お母さんのお口の健康にも影響を与えているからなのです。
 
■妊娠中のお口の中について
妊娠初期は、人によってはつわりにより食欲が減少してしまう・食べ物の好みが変わる・酸っぱいものが食べたくなったりする・また、食事の間隔にも変化を認める「ちょこちょこ食べ」も増え食習慣に変化が起こりやすくなります。
唾液や胃液の酸度も変化し、ハブラシを口に入れるのも困難な程、つわりの症状を認める場合もありお口の中の清潔が保ちにくい状態になることもあります。
また、女性ホルモンの増加で歯周病菌が増殖しやすくなり、歯肉に炎症が強く現れることもあります。
 
■歯周病が妊娠に及ぼす影響について
早産や低体重児出産が最近注目されています。
お母さんの口の中に存在する歯周病原性細菌が、血液を介して子宮や胎盤にまで運ばれることがあると言われています。 子宮や胎盤に細菌感染が起こることによって子宮収縮や子宮頚部の拡張を引き起こし、早産するのではと考えられています。
 
■赤ちゃんの歯は妊娠中につくられます
赤ちゃんの乳歯の芽は妊娠6週頃からでき始めます。 永久歯も妊娠3〜4ヶ月頃からでき始めています。
 
■タバコによる悪影響について
妊婦さんによる喫煙は早産や低体重児出産の可能性が高くなるばかりでなく、歯周病の症状をさらに悪化してしまいます。
また、妊婦さん自身が喫煙していなくても夫や家族、職場の人などが妊婦さんの近くで喫煙するとおなかの赤ちゃんにも悪影響を与えてしまいます。
 
■むし歯の原因菌はお母さんから感染してしまいます
むし歯の原因となる細菌は乳幼児期にお母さんなどから感染してしまいます。
お母さんのお口の中を清潔に保つことで、むし歯原因細菌の感染を予防することが可能です。 唾液検査などでむし歯の原因細菌をチェックしてみることも重要です。
 
むし歯原因菌の感染時期(感染の窓)
【むし歯原因菌の感染時期】

当院では、唾液検査を検査・分析を専門で行っている会社に委託し、信頼性の高い結果を元に予防計画をご提案させていただいています。
歯科検査報告書
【歯科検査報告書】
 
■歯と歯肉の健康、おなかの赤ちゃんのためにも特に必要な栄養素とビタミン
※下線の付いた栄養素名・ビタミン名をクリックすると、その栄養素・ビタミンを多く含む食材を表示します。
時期 妊娠週数 赤ちゃんの成長 必要な栄養素・ビタミン



4〜7週
身長:約2〜3cm
体重:約4g
葉酸は、たんぱく質や遺伝子に働く核酸の合成に必要です。 妊娠とわかったら、つわり軽減のためにビタミンB6を多く含む食品を摂取するよう心がけましょう。
8〜11週
身長:約8〜9cm
体重:約30g
赤ちゃんの血や筋肉を作るたんぱく質を摂りましょう。
また、ビタミンEは流産の予防に。
12〜15週
身長:約15cm
体重:約120g
子宮が大きくなり腸が圧迫されたり、ホルモンの影響で便秘になりがちです。 毎回の食事で食物繊維の多い食材を摂るよにしましょう。



16〜19週
身長:約25cm
体重:約300g
つわりが治まると食欲が出てきます。 体重増加を防ぐため、揚げ物や甘いものを控え、高たんぱく質・低カロリーを目標に。
20〜23週
身長:約30〜35cm
体重:約600〜800g
塩分を摂り過ぎると、むくみや妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)を起こします。 カリウムには塩分に含まれるナトリウムの排泄を促し血圧を下げる働きがあります。
24〜27週
身長:約36〜40cm
体重:約1.0〜1.2kg
赤ちゃんの骨・歯をつくるのに欠かせないカルシウムを十分に摂りましょう。 ママの精神安定に働き、イライラなども静めてくれます。



28〜31週
身長:約40〜43cm
体重:約1.5〜1.8kg
貧血は、出生後の赤ちゃんの成育にも影響があるので、貧血予防のため鉄分の多い食品を毎日の食事に取り入れましょう。
32〜35週
身長:約46〜48cm
体重:約2.0〜2.3kg
子宮が大きくなり内蔵が圧迫されるので、一度にいつもの量が食べられなかったり、胃もたれになったりします。 一日に必要な量を何度かに分けて食べましょう。
36〜39週
身長:約50cm
体重:約3.0kg
いよいよ出産準備の頃です。 母乳のためにも良質たんぱく質の肉・魚・豆類やビタミンの補給源である野菜・果物を摂りましょう。
 【その他、必要な栄養素・ビタミン】
☆ビタミンA ・・・・・ 歯のエナメル質の基礎を仕上げます。
☆ビタミンC ・・・・・ 歯肉のコラーゲン繊維の修復を助けます。皮膚や粘膜の健康をサポートし、免疫力も高める働きもあります。
☆ビタミンD ・・・・・ カルシウムの代謝や石灰化の調整役として働きます。
☆マグネシウム ・・・・・ カルシウムとともに骨を形成すうえで大切です。腸の働きを良くする働きもあり、便秘解消にも効果があります。
DHA ・・・・・ DHA(ドコサヘキサエン酸)は赤ちゃんの脳や神経組織の発育、機能維持に重要な栄養素です。
チロシン ・・・・・ 赤ちゃんの神経や代謝を左右するアミノ酸です。脳の機能や行動障害を予防して、知能障害などを防ぎます。
 
■妊婦さんへのメッセージ
妊娠早期の歯科検診や妊娠のために予防的なオーラルケアを行う方は残念ながら非常に少ないと思われます。
むし歯や歯周病・親知らずなど妊娠中に炎症が起こってしまうと通常ならば問題なく治療ができる内容にも制限が必要となる場合があります。
 
妊娠中の歯科治療に考慮が必要となる場合
 ●歯科治療が可能な時期の考慮
 ●レントゲン撮影による心理的な影響
 ●抗生物質や痛み止めなどの服用による影響
 ●痛みや治療によるストレスなどの問題
 
安定期(妊娠20週台)にはむし歯の治療や歯周病の治療なども可能となりますが、妊娠前、安定期、産後など定期的な歯科検診や予防に重点をおいた予防歯科治療を受診して頂くことが最も重要となります。

妊娠出産期には産婦人科医、助産師、看護師が中心になりますが、歯科医、歯科衛生士が加わることで、妊婦さんに対するトータル医療が実現します。
お口の中を清潔に保って歯肉の炎症を起こさないようにするとともに、毎日の食事から歯周病の予防、進行を防止することもできます。血糖値を適正に保つ食事、唾液を分泌する食事、虫歯誘発能の低い食品を利用することをお勧めします。乳歯は妊娠中につくられるということを意識して食に興味を持ち、バランスのとれた食生活を送ることが望ましいと思われます。

山口歯科
山口由記朗
 

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